東南アジア
 決戦 

いざ巨漢のもとへ…

そこに向かう途中に旦那は何人かの人に
チケットに書いてある住所のことを聞いたり、
有名な外資系のお店でツーリストポリスの電話番号を聞いたりしてました。

夫「何かあったときのためにポリスの番号もちゃんと知っておかないとね」

なんて…

なんて頼れる人なの…

彼はあまり背が高くなく、ぽっちゃりした体系。
ちょっと薄くなった髪を隠すためなのか頭は坊主。
メガネをかけていて、年としては30代後半くらい。

バスの中の彼はほとんど寝ていて、たまに私に寄りかかってしまっては
慌てて「ソーリー」と謝っていてとても頼れるような感じではありませんでした。

奥さんのほうは背がたかく、スラッとしていて
彫りの深い顔は多少きつそうな雰囲気に感じられました。
ショートカットの髪には赤いバンダナを巻き、
アウトドア大好きと言った感じの元気の良い女性。

この旦那、奥さんの尻にしかれてそう。
バスの中で出会ったときはそう思ってました。

が、しかし

そんな彼が今はまるで自分の父親のように頼もしい存在に…

暑さのせいで、多少丸みのある背中に背負ったリュックの下は汗でビッショリです。
何も知らない人だったらかわいいとさえ思えてしまえそうな背中。
でも今はこの背中が誰よりも大きく感じる…

そして、オフィスに到着。
前の時と変わらぬ位置に座っていた巨漢に旦那が落ち着いて話を持ちかける。
けれども、巨漢は私にとった態度と全く変わらずに
それはこの会社とは関係ないの一点張りでした。

段々旦那もヒートアップ。
奥さんまでもが話しに参加。

あぁ…私のことなのに、こんな…

そして、結局やはり、ここのオフィスはその会社とは無関係ということで
そこのチケットに書いてある会社まで行ってくれとのこと。

本当に書いてある住所って本当にここじゃなかったんだ。

オフィスを出て、その住所の場所に向かう。

辺りはもう、日が沈み始めていて、
その薄暗さがこの小さな町の雰囲気を薄気味悪いものに変えてました。

色々な人に聞いてたどりついたその住所の場所は
メイン通りから何本か入った路地裏にある車が数台止まったコンクリートの駐車場。
その駐車場に沿ってある数件の家が
まるでここがスラム街のように感じてしまうような、そんな所でした。
オフィスのような場所はどこにもない…
こんなところに乗り込んできて…
旦那はかなりテンション上がってて…

私たち…
殺されないよね…

そんなことさえ考えてしまうようなところ。

そこにいる人にまたもや尋ねて詳しい場所を聞き出す。

そして、たどり着いたのは、
家の外にプラスチックのテーブルと椅子出しるところでした。
夕食時だからか、家族みたいな人たちが何人かそこで料理を作っていました。

そこに乗り込んで、旦那が一人の男に話しを始める。

まさしく、ここがそのオフィスだということを確認して、私のことを話し、
無駄に払った380バーツをこの子に返してくれと始まりました。

男はそれは出来ないとか、俺はボスじゃないとかそんなことを言い出してる。
その態度などに旦那も嫁もかなりヒートアップしてきて怒鳴り声がそこの空き地に響き渡りました。

その間、私は近くで見ているだけ…
私のことなのに、私は一切なにも言えない…
情けない…

旦那は
「この子はタイに来るのが初めてだ。
それなのに、お前たちのせいでこの国はこの子にとって最悪の印象を与えてしまうんだぞ!そんなことになって、お前は悲しくないのか?!恥ずかしいと思え!」

そんなことも言ってました。

フランス人は自国に誇りを持っていると聞いたことがあります。
そんな風に言えるのってかっこいいな。

そんなのんきなこと思ってる状態じゃないけれども、
なかなか日本人には出てこない言葉に感動さえしてしまいました。

男はまぁ落ち着けよと言う様子で、そこの椅子に座りなと言ってきました。

けれども、旦那は座ってなんかいられるか!
それとも君は座りたいのか?
といきなり私に不意打ちパス!

いえいえ、滅相もございません。
こんな中座るなんてまねは出来ません。と心の中で思いつつも
ここは強気で
「NO!」と返事をする。

とにかくボスを出せ!

ボスはここにはいない!

じゃあ、電話しろ!

という感じでしぶしぶ電話をする男。
そして電話に出た男にまたもやキレるキレる…

あぁ、この戦いはいったいどうなるの?

しばらく話した結果、お金を返してやれという承諾がとれたよう

しかし、戻ってきたのは250バーツ…

「NO!380B!」
と奥さんが叫ぶ。

しかし、そこにいる人たちのお金を合わせても300バーツにしかならずに。
これ以上は無理。これ以上になると…
と私の英語力では理解出来ないことを話していて、
旦那も私にこれで我慢してくれるかな?これ以上を今、返せというと
ややこしいことになる。ポリスがどうのことの…
とこの意味もあまり理解出来なかったけれども
とにかく大変なことが起きるということでした。

私にしてみれば300バーツ戻ってきただけでかなりありがたかったので
「OK」と言ってそのお金を受け取り、その場を去りました。

ただミニバスで隣の席だったというだけの私にここまでしてくれて…
なんて…なんて心温かい人たちなの!!

本当に嬉しくて、それを言葉にしたかったけれども
私に言える言葉は
「Thank you」の一言だけ。
何回も「Thank you…Thank you」とただ言うだけでした。

そして、戻ってる途中に彼らはこれから先の私の心配までしてくれました。
もしなんだったら、夜中の船で一緒にパンガン島まで行こうとも言ってくれました。
本当に嬉しくて、涙が出そうだったけれども
スラターニという土地に嫌気がさしていたということ、
バンコクに帰れば知り合いもいることだし、
そこにいって早く落ち着きたいと思ったのでこのままバンコクに戻ると伝えました。
バンコクには知り合いがいるから大丈夫という言うと
それなら安心だね。と言い、
これから旅を続けていくために覚えていたほうが良いことを教えてくえました。

まず、遠くの場所に移動するときは時間がかかってもいいから、
その経由の町までのチケットしか買わないこと。
この国では何があるか分からないから、そうしないと今日みたいなことがまた起こるということでした。

それとなれなれしいやつには注意を。
とくに「Hey!My friend!」などと言って近づいてくる奴には十分注意をしないと駄目だということ。

本当にそうですね。
気をつけなくては…

駅まで何で行くのか聞かれて、
だいぶ暗くなってしまったので、バスはなさそうだからタクシーで行くと言うと
近くにいたおばさんにタクシー乗り場がどこなのか聞いてくれました。

すると、タクシー乗り場はそこからは遠いとのこと。
どうするか迷っていると、そのおばさんが今、車で買い物にきてるから、そこまで車で送っていってあげると言ってきました。

そんなことしてもらっていいのかな?
と私がまた迷っていると
旦那に
「Do you wanna need?」と聞かれハッとしました。
これじゃ駄目だ。自分の考えはちゃんと言わないと!と思い、
強気に
「Yes!」

夫「Good!」

そこで彼らに別れを告げ、そのおばさんの車の荷台に乗り込みました。
本当にありがとう…大好き…
彼らの姿が見えなくなるまで私は手を振っていました。
写真の一枚でも撮らせてもらえばよかった…
戦いで熱の上がった体に生暖かいタイの風を感じながら思いました。

そして車は闇の中を走る

…あれ…?なんか…戻ってない?

そして、車はメイン通りからもっと暗い道へ…
なんか、簡単に乗ってきちゃったけど…
この人たち…大丈夫だよね…?
と少し不安になる。

そして、着いたところは日本のタクシー乗り場とはかけ離れた場所。
人なんてほとんどいない真っ暗な駐車場…

というか…ここって…

さっきの戦いの場じゃないの?!
え?どういうこと?ここがタクシー乗り場!?
暗い中に消えそうな明かりがポツリ…
そこに男が3人座ってました。

車を運転していた、おばさんが彼らのところに行き何かを話してる。

そして、彼女に駅まで行ってくれるから降りて大丈夫だよと言われ、
戸惑いながら降りるも、どうしても怖くなってしまう…
本当にここなの?
だって…タクシーなんて一台も無いんだけど…
彼女に必死に話しをしていると
車の中に乗っていた、人たちがみんな降りてきました。

え?何?
ていうか…あなたさっきあの戦いの場にいた人じゃないの?
なんていう変な妄想まで…

怖い!無理と思っていると
おばさんが120バーツよ!いいわね!と言って
みんな車に乗ってさっさと帰ってしまいました…

ど、どうしよう…

ここに立ち尽くしていても仕方ないので、ドキドキしながらも彼らのほうへ。

すると、その中の一人が立ち上がり、この車だと手招きしてる…
それがタクシーなの…どうみても普通の車。
怖いけど…と思いつつ近寄っていくと荷物をトランクの中に入れてしまった。
乗るしかない…そして
「ワ、ワ、ワンハンドレッドバーツ、…OK?」
と怖いくせに、値段交渉をしてみる。

どうみても、この状況は私には不利。
夜で、ここの周りには何もなし。
街灯さえないここから歩いてどこかに行くことはどう考えても無理です。
ここにはこの人たちしかいない。
となれば値段交渉なんてしなくても、私はこれに乗るしかないのです。

「…OK!」

え?!

私「100バーツ?」
もう一回聞いてみる。

「OK!乗りな!」

いいんだ(笑)

ちょっと和んだけれども
まさか、どこか変なところにつれて行ったらどうしよう…

車内の沈黙に耐えられなくなり、なんとなく話かけてみる

すると、結構陽気な彼。
日本語教えてくれよ〜!と言って車内はいつの間にか日本語教室に。
そして、私も彼にタイ語を教えてもらったりとなんとも穏やかな雰囲気に。
なんだこれ…
全然いい人じゃん。

しかも、駅は歩いてなんて到底無理な距離にありました。

よかった、タクシーに乗って。

駅について、渡された名刺にはちゃんとタクシードライバーとの文字が。
本当にタクシー運転手だったんだ…
疑ってごめんね。と思いながら彼と別れを告げました。

バンコクまでの列車はそれから2時間後。
2時間かぁ…と思いつつも、やっとバンコクに戻れるんだと思うとほっとします。

しかし、列車待ちの時に急激な腹痛に襲われる…
本当に散々な1日(汗)